C-brainは平成6年の創業以来20年に渡り、金沢で手作り時計を制作しています。
初めてその時計を見たのは3年程前、僕がまだ勤め出して間もない時に初めてオーナーである成田と足を運んだ東京での展示会。
様々なジャンル、ブランド、デザインを見る中で、唯一自ずと足を止めたのがC-brainのブースだったんですよね。
岩絵の具や和紙、箔を用いて作られる『はなもっこ』シリーズ。
一目惚れに近かったと想います。
そんな初恋にも似た(個人的なものですが)腕時計を本日はご紹介します。
はなもっこ 『こないろ』岩椿 シルバー ユニセックス ×15mmシンプルベルト オリーブ
和紙に岩絵の具で着色を施した『はなもっこ』シリーズ。
日本画を描く際に用いられる「岩絵の具」は7世紀ごろ高麗の僧が紙や墨とともに日本へ伝えられたといわれる主に鉱物を砕いて作った絵具です。
高松塚古墳の壁画や法隆寺金堂旧壁画にも使われその色彩は1300年以上経っても褪せる事なく美しい色を今に伝えています。
粒子が大きくきらきらとした独特の美しい風合いを持ち、砕き方が細かいほど淡い色になり、荒いほど濃色になるという特徴があります。
幾重にも塗り重ねて表現されるその色は繊細で優雅な和の色です。
0.1mmを越えない様に薄く、しかしながら、しっかりムラ無く色付けされた文字盤。
インデックスの箔が優雅な風合いをより薫らせます。
はなもっこ 『こないろ』菫(すみれ) ゴールド レディース ×7mm二重巻きベルト ヌメ
はなもっこ 『かさね』蔦の細道 ゴールド レディース ×7mm縁返しベルト ちゃ
こちらは” かさねの色目” という平安時代の装束の袖口などに見られる配色を参考に、岩絵具や金箔などを組み合わせたデザイン。
大胆な構図が美しい俵屋宗達の「蔦の細道図屏風」(重要文化財 相国寺蔵)から発想を得てデザインした腕時計。
使っている素材も、実部と全く同じものを使用しています。
緑色は緑青(ろくしょう)という絵具ですが、蔦の細道に使用されているようなややくすんだ渋い色にするため、絵具を焼いて彩度を落としています。
これも日本に古くから伝わる伝統の技法です。
焼緑青の上に金箔を貼り重ねることで、金箔の表面はザラザラとした質感になり、光沢を抑えた、原画が持つような上品な輝きに仕上がっています。
はなもっこ『紋切り』麻の葉 シルバー レディース×7mm縁返し辺ベルト 黒
胡粉(ごふん)という貝殻を粉末にした白い絵具を染み込ませた和紙を文様のかたちに切り抜き、銀箔と薄い和紙で作った地に貼り付けた『紋切り』シリーズ。
見る角度を変えることで下地の銀箔が輝き文様が浮き上がる、繊細でとても美しい腕時計です。
麻の葉紋は魔除けの効果があるとされ、平安時代から仏像の衣服の装飾などに多く使われてきました。
また 麻は生育が早くとても強く丈夫であることから健やかに育つように願いを込めて子供の衣服などにもよく使われる文様です。
はなもっこ『紋切り』縞 シルバー ユニセックス ×15mmシンプルベルト 白
こちらは縞(しま)と題された直径33cmのユニセックスタイプ。
16世紀中頃から、南蛮貿易などにより東南アジアから渡来した縞柄の織物が流行しました。
当時は南の島国の柄として「島柄」と呼ばれましたが、その後「縞柄」と変わり、江戸時代には縞柄が大流行し、「縞のお召し」が粋(いき)の象徴とされたと云われています。
『袖口にかすかに縞を装う』
現代の粋をお楽しみ頂ける時の器。
落ち着いた風情が感じられる腕時計。
これからの季節には、着物や浴衣等の袖口にもさらりと上品な風を吹かせてくれるのではないでしょうか?
窪田
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