今年ローンチされた新作コレクションを全型並べた展示受注会。
7/15(土)-7/30(日)の会期で執り行います。
コレクション全型の実物をご覧頂けるのは一年に一度となるこの巡回展期間中のみとなりますので、どうぞご予定の上足をお運びください。
会期初日の7/15(土)は作家であるカガリさんも数年ぶりに在店する予定です。
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KAGARI YUSUKE 2023巡回展「オブジェクトに感情を託せるか?」
会期:7/15(土)~7/30(日)
会場:Fuligo分室
期中店休日:毎週金曜日
作家在店予定日:15
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あなたは幽霊を信じているだろうか?
ぼくは信じていない。
だって見たことがないし。
でもぼくは幽霊の実在性をまったく信じていないが、同時に幽霊の存在性を強く信じてもいる。
幽霊はいないと確信しているが、それでもぼくたちは幽霊をなぜか見ることができてしまうだろう、と。
ここで言う幽霊は精霊と言い換えてもいい。
あるいは付喪神だと言えば、カバン作家であるぼくがこうした話に言及している理由もなんとなく腑に落ちやすくなるだろう。
ちょっとした皮肉をこめて『価値』と言い換えてもいい。
幽霊、精霊、価値。
実在しないと知っているのに、その存在をなぜか信じることが出来てしまう事柄たち。
何かを作るという行為はそれら得体の知れない事柄たちと向き合い、自分なりのやり方をもってあーでもないこーでもないと手探りで付き合っていくことに他ならない。
人間の認識のシステムは個々の肉体という領域で閉じられており、その閉じられた領域から外部へと開かれたインターフェースはピンホールカメラの穴のごとく限定的である。
ぼくたちはその小さな穴から覗いて得た情報を原材料として、脳内に外部をミラーリングした虚像を立ち上げ、その虚像をまた別の認知 ーそれが意識なのか?ー を持って観察することで、ようやく外界を認識するという複雑なプロセスを経てこの世界を見ている。
ゆえにぼくたちは自分では外を見ているつもりでも、実際のところその認知は常に内側を向いている。
最初に書いた「幽霊を見ることだって出来るだろう」というのは、この構造的なねじれを主な根拠にしている。
ぼくたちはそれぞれが肉体という深い森に完全に隔離されており、森の中からまた別の森に向けて一筋の狼煙を上げるかのような拙い意思疎通の手段しか持ってはいない。
しかし、意思疎通が不完全ゆえに、そこには解釈の自由が生まれ、アウトプットが多様化するという側面もある。不完全がゆえに個性が生まれると言っていい。
その不完全さこそが最大の利点だという可能性すらもありうる。恐らくはそうなのだろう。
博物館が好きだ。
博物館の静寂の中で無数のオブジェクトに囲まれているといつも同じ問いが頭によぎる。
なぜ、ぼくたちは、これほど多様なものを作る必要があったのだろう?と。
このテキストでは、その問いに対する現時点での自分なりの考えを書いているつもりだ。
ある博物館で石のお金を見た事がある。
石のお金は「大きさ」と「滑らかさ」そして「硬さ」で価値が決まるらしい。
衣服や食べ物と交換するには手に持って運べるぐらいの手頃な大きさでいいらしいが、船といった巨大で希少なものと交換するには、それこそ船じゃないと運べないだろうなというほどに巨大な石をつるつるに磨いた物が使われていたようだ。
「この石を作るには、船を作るのと同じぐらいにとても手間がかかってますよ」というのが見る側に伝わるかどうかが重要なのだ。
彼ら(ぼくたちでもある)は、ただの石の塊に加えられた人の手の痕跡を通して、そこに『あったであろう』労働の、そして環境条件さえ揃えば石に刻まれた痕跡から「労働を通した感情」の追体験すらもできてしまう。そういう風に人間はできている。
こんなものもあった。
“戦いで殺した相手の死体を食べるとき専用”のフォークだ。
さすがに現代ではもう使われていないようだが、比較的近代まで実際に使われていた『可能性がある』と言われている。
ある小さな島があった。島の近くにはまた別の小さな島があり、それぞれに人が住んでいる。
島と島はお互いに緊張関係にあり、ほんの小さなきっかけで戦争状態に陥ることがしばしばあった。
それぞれの島の戦士は船を漕いで敵の島に渡り、高揚と狂気に身を投じて殺し合う。
戦いが終わり、倒した相手の死体は村へと持ち帰る。そして、食べる。
彼らは戦士には精霊が憑依していると信じていた。
戦士の肉を食べるのは相手方の精霊を屈服させるといった意味があったのだという。これは見方を変えれば、現実にそこで戦っているのは人と人だが、その戦いの本質は「存在性」が「実在の肉」を借りて行う代理戦争であるという捉え方さえも出来てしまうだろう。
また、倒した戦士の肉に手で直接さわると敵方の精霊がこちらへ乗り移ってしまい、呪われてしまうとも信じられていた。
そこでフォークだ。
木製のとても大きなフォーク。日常使いには不向きな装飾がなされている。
その大きなフォークを使い、肉には直接手を触れず、食べる。そこに宿ると信じられていた得体の知れない精霊なるものを現実の肉体の中で仮想的に屈服させる。
現代人の目から見るとよほど奇妙に映る。それは決して褒められた習慣ではない。
しかし、そこには何かしら否定しきれないものが確かにある。
それを言葉にするとこうなる。
ぼくたちは文脈によって、歴史によって、物質の裏打ちによって、実在しないこの世ならざるものの存在を見て感じるだけではなく、それに仕えてしまう事さえもができてしまうのだ、と。
それはとても怖い事でもある。
ぼくたちがごくごく自然と信じてしまう価値というものの存在性が、我々の現実の肉体や生活といった実在性を隷属させ使役してしまうことさえあるのだから。
ぼくは幽霊の実在を信じない。精霊も残念ながらいないだろう。同じ文脈を持って、価値だって疑っている。きっと実在しないのだろう。
しかし、同時に、ぼくは物を作る者の本能として、幽霊/精霊/価値/のその存在性を、とてつもないその影響の強さを非常に強く感じているし、前向きに信じてもいる。
ぼくたちは物を通して、実在しないこの世ならざるものたちの存在性を相互に通信し合い、感情を揺り動かしながら生きている。
人と物の間で行われる情報のやりとりの在り方は常に不完全で、いつだって解釈の余地しかなく、常にある程度の割合で間違っている。
だからだろうか。それはぼくの目にはとても愛おしく、時に愚かで、ぞっとするほど残酷で、素晴らしく多様に満ちた意思疎通の在り方なのではないかと、そう思ってしまう。
ぼくは壁をモチーフにしたカバンを作って売って生きている。
ぼくは、いつでもどこでも都市という存在を見ようとしている。
その見ようとしている都市は、実在する都市に裏打ちされた、ぼくの内側にある都市だ。それは街の形をしたぼくの精霊なのだろう。
だからこそぼくはこうやって都市に囚われ続けている。それは狂気なのかも知れない。
何度もこの身に宿る街と違うものを作ろうとした。しかし、何故か作れない。
現実的には作ろうと思えば当然作れる。技術もあるにはある。しかし、どうしても作る気になれないのだ。
今回の、2023年の新作個展のタイトルは当初「パーツのある風景」だった。
ビジュアルブックの写真を除き、その他全ての作品はパーツのある風景という言葉から着想して作った。
だから個展タイトルとしてはパーツのある風景が正しいのだが、全ての作品が出揃ったタイミングで、何か違うなと感じた。
正しいから正しく伝わる訳ではない。
不完全で間違った言葉の方がかえって自分が見ようとしていることを言い表せることだってあるだろうと。
「オブジェクトに感情を託せるか?」が本展のタイトルとなる。
これは今回だけのタイトル/テーマではないのだろう。
この言葉には、ぼくがどうしても心惹かれてしまう事柄そのものが、つまりは人と物の間にある不完全な相互作用の妙が詰まっている。
それがあなたにとって価値を持つかどうかはわからない。
それでもぼくは作り続けるのだろう。自分の行為が誰かの価値になるかもしれないと一縷の望みを抱きながら。
精霊に身体を乗っ取られた、わりと良くいるタイプの作家の一人として。
2023年5月 カガリユウスケ
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正解とは、真実とは、本人が最も納得できる仮説に他ならないのです。
※森博嗣著「地球儀のスライス」より
カガリユウスケの文章を飲み込んだ時、敬愛する森博嗣氏の言葉がリンクした。
今展のタイトル中にある「?」に観る人・選ぶ人が各々の解釈で、各々の内側に仮説を立てる。
そんな会期になればいいと想う。
※以下は2023年作品一覧となります。オンラインでのオーダーも承りますのでご希望のデザインがある方は info@fuligo.jp へお申し付けください。尚、価格につきましては2023年7月時点のものとなります。以降は素材価格の変動等により、予告なく価格変更ないし終売となる場合もございます点を予めご周知ください。
※品番(商品名)横に<本体のみ>と記載されたものはショルダーコードが別売となります。今現在通常展開されているショルダーコードは末尾に記載していますので、合わせてお求めの方はご希望のデザインをお伝えください。
・W23-01 ラッシングミニショルダー<本体のみ>
size / H185×W225×D80(mm)
material / leather, putty coating, nylon belt, iron buckle, brass
price(+TAX) / white ¥44,000, black¥48,000
・W23-02 ラッシングベルトトート
size / H360×W330×D60(mm)
material / leather, putty coating, nylon belt, iron buckle, stainless
price(+TAX) / white ¥53,000, black¥58,000
・W23-03 ニューフレコントート<本体のみ>
size / H385×W250×D165(mm)
material / leather, putty coating, nylon belt, iron buckle, stainless, aluminum, zip
price(+TAX) / white ¥75,000, Black¥82,000
・ニューフレコンリュックパーツ
size /H700~1140×W50(mm)
material / leather, putty coating, nylon belt, iron buckle, stainless, carabiner
price(+TAX) / white ¥32,000, black¥35,000
・W23-04 ポケットテッキントート<本体のみ>
size / <本体>H290×W235×D115(mm), <外ポケット>H145×W180×D45(mm)
material / leather, putty coating, nylon belt, iron buckle, iron
price(+TAX) / white ¥62,000, black¥68,000
・W23-05 ブロックボストン ツートン<本体のみ>
size / H355×W355×D120×handle300(mm)
material / leather, putty coating, brass, zip
price(+TAX) / white&black two tone ¥92,000, ALL white ¥76,000, ALL black¥83,000
・W23-06 ブロックボストン チェッカード<本体のみ>
size / H355×W355×D120×handle300(mm)
material / leather, putty coating, brass, zip
price(+TAX) / white&black two tone ¥92,000, ALL white ¥76,000, ALL black¥83,000
・W23-07 ウォール(ソフト)トランク・ハーフカット<本体のみ>
size / H145×W380×D105(mm)
material / leather, putty coating, zip
price(+TAX) / white ¥84,000, black¥92,000
・ショルダーパーツ<電線ショルダーコード用>
size / H350×W28×D20(mm)
material / leather, putty coating
price(+TAX) / uc(都市型迷彩)¥22,000, white ¥11,000, back¥12,000
・S23-01 ニューフレコントート・スキン
size / H290×W200×D145(mm)
material / horse leather, brass, aluminum
price(+TAX) / ¥70,000
・S23-02 スキンショルダーポーチ
size / H230×W180×D30×handle1200(mm)
material / horse leather, zip, electrical wire
price(+TAX) / ¥22,000
・スキンスリッポン
size / 23-28(cm)※0,5cm刻み
material / horse leather
price(+TAX) / ¥60,000
・W22-05 リングトートB5 ヨコナガ UC <本体のみ>
size / H200-280×W300×D100(mm)
material / leather, putty coating, iron
price(+TAX) / ¥80,000
・W22-06 リングトート A4 タテナガ UC<本体のみ>
size / H340-420×W270×D85(mm)
material / leather, putty coating, iron
price(+TAX) / ¥83,000
・壁布トート
size / H370×W325×D20×handle630(mm)
material / leather, putty coating, cotton, electrical wire
price(+TAX) / 各¥25,000
※コットンにプリントされているのは様々な場所でデザイナー自身が撮影した壁写真。一枚目画像上段の左から①カサイ②オキナワ2023③アワザ / 下段左から④スソノ、(素材調達の兼合いから廃盤)、⑤ウエダ
・壁布ビッグトート<本体のみ>
size / H440×W390×D30(mm)
material / leather, putty coating, cotton, zip
price(+TAX) / 各¥47,000
・ブラックカラーペイント
material / leather, putty coating, acrylic paint
※priceは品番によって異なりますのでお問い合わせください。
・ウォールクリアファイル
size / H310×W220×D0,6(mm)
material / polypropylene
price(+TAX) / カンダ(白) ¥1,100, イワモトチョウ(黒)¥1,100
・ラッシングキーホルダー
size / H210×W40×D10(mm)
material / leather, putty coating, iron buckle, brass, stainless
price(+TAX) / white ¥15,000, black¥16,000
・ラッシングベルト
size / MAX1180×W30-45(mm)
material / leather, putty coating, iron buckle, plastic buckle
price(+TAX) / white ¥19,000, black¥20,000
・マルチポーチ S/M/L<本体のみ>
size / <S>H80×W140×D35(mm)<M>H95×W160×D50(mm)<L>H110×W185×D60(mm)
material / leather, putty coating, zip
price(+TAX) / <S>white¥17,000, black¥18,000 <M>white¥21,000, black¥23,000 <L>white¥25,000, black¥27,000
※Lサイズにのみショルダーコード取り付け用のD環が付きます。
・グラスケース
size / H75×W160×D40(mm)
material / leather, putty coating
price(+TAX) / white・gray ¥15,000, black¥16,000, UC(都市型迷彩)¥26,000
・吊るすグラスケース
size / H180×W85×D20(mm)
material / leather, putty coating, carabiner
price(+TAX) / white・gray ¥17,000, black¥18,000, UC(都市型迷彩)¥28,000
・MW21 L字ジップ
size / H95×W122×D25(mm)(coin pocket×1, card pocket×4)
material / leather, putty coating, zip
price(+TAX) / white・gray ¥30,000, black¥33,000, black+blue color paint¥38,000, UC(都市型迷彩)¥42,000
・カラビナ電線ショルダーコード
size / Φ5×length1130(mm)※全長はサイズオーダー可能です。『+100mm希望』などでお申し付けください。
material / electrical wire, carabiner, aluminum
price(+TAX) / SV(carabiner)¥8,000, UC(燻し/carabiner)¥13,500
・パット付きカラビナ電線ショルダーコード
size / Φ5×length1130(mm)※全長はサイズオーダー可能です。『+100mm希望』などでお申し付けください。
material / leather, putty coating, electrical wire, carabiner, aluminum
price(+TAX) / white¥15,000, black¥16,000, UC¥25,000
※パット着脱不可
・ナイロンショルダーコード
size / length max 1260×W30(mm)
material / nylon, iron buckle, carabiner, leather, putty coating
price(+TAX) / white¥17,000, black¥18,000, UC¥28,000
窪田
<Schedule>
7/15-7/30:kagari yusuke(分室)
8/5-8/27:GIFTED(分室)
8/12-8/31:emme「天然石とレース」(店頭)
8/19-9/3:栗原志歩(分室)
Fuligo(フーリゴ)
〒460-0008 名古屋市中区栄5丁目3-6エルマノス栄中駒ビル2C
Google Mapsで見る
OPEN/12:00~CLOSE/20:00
TEL: 052-241-7227
メール: 各種お問い合せはコチラから
アクセス:
矢場町駅1番出口から徒歩5分
栄12番出口から徒歩10分