「文化的孤児」
これは増﨑さんが口にしていた言葉です。
この語彙が気になって少し掘り下げた際に彼はこう話していました。
「文化的孤児」って僕も何というかそれこそここ20年くらい日本で生きてきてたどり着いたワードなんですけど結構現代日本の核に触れる概念なんじゃないかなと思ってます。
圧倒的な大多数が自覚の有無問わず究極は文化的孤児なんじゃないかっていう。
何らかのカルチャーと自分を同化出来た人は表面上はあまりそういう事感じないと思うんですが、そういう魔法というか自己催眠が効かなくて精神がどシラフな人が直面するのって「文化的孤児」ていう概念なのかな?という感じですね。
ただ、それって別にどうにかできる問題でもないので寧ろその特異な境遇からしか生まれ得ないようなものを自分なりに産み落としていけたら良いなぁという感じで僕は構えてます。
これを聞いた時、流れを追わず、どしんと腰を据えて自身と向き合う中で一つの信念を研ぎ続ける、ひたすら反復し続けながら物作りに打ち込む彼の根幹みたいなものが垣間見えた気がしました。
昨年はじめてFuligoという屋号で展示販売会を開催したGIFTED。
今年も1年ぶりとなる催しを店頭にて執り行います。
ブランド立ち上げ10周年にあたる今展は「原点回帰」といったフレーム(額)を掲げた会期となります。
回帰と言っても単純に振り返る・立ち返るといったものではありません。
瞬間瞬間、全力を出し切りながら常に制作へ日々打ち込んできたという自負を再構築する場、といった具合でしょうか。
10年前の100%と今の100%を対峙させる。
昔だからできた事、今だからできる事、今はやらない事、昔はやっていた事、今でこそやりたい事。
一筆書きでずっと真っ直ぐ伸ばして来た線は今展で一つの環へと転じます。
作り手である増﨑さんは「この1年が今までで1番長かった」と話していました。
短かった、ではなく、長かった。
あっという間だったという形容はよく耳にしますが、その言葉はどこか新鮮に聞こえます。
それは誰よりもぶっ通しでやり続けたという自信から来るこれ以上ない自身への賛辞であり、月並みな言葉でいう所の覚悟の片鱗のようなもの。
「今回は10年目のゼロ地点であり原点の更新のような置き所」
「時代を超えれないものを自分は認めない」
1年かけて圧縮した10年分の堆積を多くの方にご覧頂きたいと想います。
その量感や佇まいを横目で見た多くの方が抱く第一印象。
実物を着用した後の印象はそれを大きく覆してしまいます。
僕自身今回も大きな裏切りを期待している一人ですが、期待は超える為にあると彼は言いそうです。
なんせ作品の説得力に今まで裏切られなかった事なんか無いので。
_________________________________________
GIFTED jewelry exhibition 「ARCHE」
会期:7/31(土)~8/31(火)
会場:Fuligo店頭
作家在店日:7/31(土), 8/1(日)
8月定休日:6.13.16.17.20.26.27
「ARCHE(アルケー)」は原初・元型・根源といった意味を持つギリシア語に由来します。
GIFTEDが最初に制作した商品はカレッジリングやヘリテージリング、チャンピオンリング等の俗に言う記念リングが備えている様式、特徴を脱構築することによって制作した BIRTHDAY RING からスタートした経緯があり、10 周年を迎えた本年に先のリングを踏襲し原点回帰として制作しました。
ここを始点とし「10年目のゼロ地点であり原点の更新」という大きなフレームを以って今展を開催致します。
_________________________________________
・9/4~9/19:emme 個展(分室)
____________________________
窪田
アクセス:
矢場町駅1番出口から徒歩5分
栄12番出口から徒歩10分
毎週金曜日定休・不定休