店舗としてのお付き合いが始まった2015年、前身となる”gura”名義で執り行った会期以来となる分室を一部屋用いた個展形式での展示販売会が7/3(土)より始まります。
会期は7/25迄の凡そ3週間。
原点回帰を念頭に位置付け開催した昨年のトランクショー。
Kuraishi Takamichiとして歩んできた行いを振り返ったものを昨年とするのであれば、今展はそのもう少し手前の話。
そもそも何故この行いに至ったのかをふんわり思案する会期となります。
源流の原点というか根源というか。
何をつくるのか、から、何故これをつくるのか、への偏移というか。
ただの『金属の輪っか』を特別なものたらしめるのは何なのか。
なんでもないものを研鑚し続けたらそれは”なにものか”になるのか。
ゲシュタルト崩壊に眩む思考、もやっと湯気みたく薫る本質。
この一年ぼんやりと彼が考えていたこと、その火を静かにくゆらせながら今回空間に広げてみようと想いました。
今までの催事史上、最も多くの天然石ルースも並べてお待ちしています。
ただの輪っか。
なんでもない金の指環。
なんでもないけど、とんでもないもの。
ただただ寄り添ってくれるもの。
着け手が主役。
全体を見たときの要。
調和と相乗。
そんなことを忘れたり思い出したりしながら
寄り添う指環の熟成がすすむ。
作り方を変えてみたり
道具を探してみたり。
根っこに通ずるものを求めて
あれこれあれこれ血肉にするために
走り回ったり、歩いたり。
ようやくこれはいいんじゃないかと
そう思えるものが出来あがった。
このところ物の見方がすこし変わってきた。
あまりに恣意的なものが前面に出てくるものとか
「デザイン」されたものにどうも手が伸びない。
誤解を恐れずに言うなれば…
売るためにデザインされたものにごちそうさまな気分。
もちろんこれは良いなぁと思う物もあって。
むむむと唸る熱量とか
これはアホでしょ!
という物はとても好き。
(計算し尽くされたプロダクトも好き)
あれ?
結局、全部好きなんじゃないか…
物を作っているから、もちろんそこには「想い」はあるし。
着けた人が、素敵で格好よろしくあってほしい。
自分にもなにかしらの欲求はある。
あるんだけど…
ただただそこにあればいい
というシンプルな気持ちと
手にした人が幸せになるなら、それでいい。
それで…じゃないな。
それがいい、だ。
大袈裟なことを言えば、見るだけでフッと抜けるような物が作れたら。
別の仕事をしていても良いんじゃないか。
とすら思う。
思うけどもー
やっぱり作っていたいという欲もあって。
それよりなによりも…
人の幸せに寄り添う仕事は、なにものにも代えがたい。
色んなものが溢れていて。
それは物も情報も、色んなモノがたくさんで。
大洪水と雪崩と台風みたいな日々のなかに
フッとニュートラルになれるようなもの。
そんなものを作りたいし
作っていると思う。
留まるための碇かもしれないし
飛んでいくための翼かもしれないし
次の世界を開く扉かもしれないし
扉を開ける鍵かもしれない。
舟になるかもしれないし
遠くで廻る灯台かもしれないし
ただただ静かに、共に座す相棒かもしれないし。
ぽわんと照らすあたたかな光かもしれない。
それぞれにとってゼロを刻むもの。
ざばーっとどこまでも広がる砂漠で
星のカケラを探し当てるような
そんなとびきりの瞬間を
自分へのギフトを
見つけにきてください。
_________________________________________
Kuraishi Takamichi 個展
会期:7/3(土)~7/25(日)
会場:Fuligo分室
作家在廊:3.4.24.25
7月定休日:2.5.6.9.16.20.26.30
_________________________________________
____________________________
窪田