今年で3年目・3回目となるトランクショー。
旧来の「nishikata chieko」から作家自身の愛称である「Chi(チー)」にブランド名を改め、心機一転で臨む今会期。
2回目となった昨年の催しは、コロナウィルスによる初めての非常事態宣言が出されたタイミングでした。
作り手である彼女とは何回も電話し、中止なのか開催なのか、今後どうしていくのか、どうなっていくのか、不安に困惑しながら対話した事を覚えています。
今展に先立ち、今回も彼女とは電話を数回。
東北の山形県に拠点を置く彼女とはもう長らく直接会えていません。
「来年は心穏やかに一緒できたらいいねー」なんて話を以前していたのに気付けば今年もコロナによる昨年のデジャヴ。
「またこんな感じですねー」なんて苦笑いのやり取りから連なる対話。
ただ一つ、言葉を重ねる中で「腹が据わったなぁ」って事をこの一年での確かな変化として端々に感じました。
不安と対峙していく為に先ず据わらせる必要があっただろうし、それはきっと僕も含め、多くの人々にも少なからず共通する部分があると思います。
昨年の今頃の様な後ろ向きな言葉はお互いになくて「やれる事を全力でやりましょう」「つらくても何かのせいになんてしない」って所に対話が着地する事がこんなに気持ちを昂らせるのかと再認識しました。
誰かと一緒に何かをする事って大なり小なり覚悟がやっぱりいる。
うまくいく・いかないなんて結果よりも、どっちにしたって勝つまでやれるか、って自問に迷いのないイエスを叫べるかってスタンスだけ。
負けた一度を嘆くのか、一度負けて勝ちに一つ近付いたと捉えるのか。
どうせだったら後者がいいかな。
ネイティブアメリカンの長老の言葉とされるオライア・マウンテン・ドリーマーの『招待』という詩文があります。
前職の時から僕自身の頭の隅に常に置いて来た言葉ですが、今回彼女と話す上で「今の僕らに大切なのは正にこれだ」と改めて感じました。
「The Invitation/招待」
あなたが生活の為に 何をしているかは、 どうでもいいことです。
私は、あなたが何に 憧れ、 どんな夢に 挑戦するのか 知りたいと思います。
あなたが 何歳なのかということも、関係のないことです。
あなたが、愛や夢や冒険の為に、 どれだけ自分を賭ける事ができるか知りたいのです。
あなたがどの星座の生まれかということも、 どうでもいいことです。
あなたが本当に深い悲しみを知っているか、 人生の裏切りにさらされたことがあるか、
それによって傷つくのが怖いばかりに、 心を閉ざしてしまっていないかを知りたいのです。
あなたが、自分の物であれ、 人の物であれ、痛みを無視したり、 簡単に片付けたりせずに、
それを自分のものとして受け止めているかどうかを知りたいのです。
また、喜びの時は、それが私のものであれ、 あなたのものであれ、心から喜び、
夢中になって踊り、恍惚感に全身をゆだねることができるかどうかを知りたいのです。
気をつけろとか、現実的になれとか、 たいしたことはないさなどと言わずに。
私は、あなたの話すことが 本当かどうかには 関心がありません。
私は、あなたが 自分自身に 正直であるためには、
他人を 失望させることでさえ あえてすることができるか どうかを 知りたいのです。
たとえ 裏切りだと 責められても、 自分自身の 魂を 裏切るよりは、
その非難に 耐えうる方を 選ぶことが できるかどうかを。
たとえ 不実だと言われても、 そんな時に あなたがどうするかによって、
あなたという人が 信頼に値するかどうかを 知りたいのです。
私は、あなたが 本当の美が わかるかを 知りたいのです。
それが 見た目に美しく見えない時でも、 毎日 そこから 本当に美しいものを
人生に 汲み上げることが できるかどうかを。
私は、あなたが たとえ失敗しても、 それを受け止めて、ともに 生きることができるか、
それでも 湖の縁に立ち、銀色に輝く満月に向かってイエスと叫ぶことができるか
どうかを知りたいのす。
あなたが どこに住んでいるか、 どれだけ お金があるかは どうでもいいことです。
それよりも、あなたが 悲しみと絶望に 打ちひしがれ、 どんなに 疲れ果てていても、
また朝がくれば 起きあがり、 子どもたちを 食べさせるために、
しなければならないことを するかどうかを 知りたいのです。
あなたが 誰を知っているか、 あなたが どうしてここへ来たかは 関係ありません。
私とともに 決してひるまずに 炎の只中に立つことができるか どうかが知りたいのです。
あなたがどこで、何を、 誰と勉強したかは どうでもいいことです。
私が知りたいのは、皆が見捨ててたったひとりになった時、
あなたの内側から あなたを支えるものは 何かということです。
私は あなたが 自分自身と しっかり向き合い、 その何もない時間の中にいる自分を、
心から 愛しているのかどうかを 知りたいと思っているのです。
怯えや迷いは棄てて挑む一ヵ月。
今会期では定番作品は勿論、昨年の対話の断片を彼女が掬い取ってくれた事で生まれたインダストリアルな薫り纏うゴールドコレクションや新作となるイヤカフ、アーカイブ作品となるシルバーを用いたスポットコレクションも多数並ぶ予定です。
今やれる事を最大限でお届けするべく努めて参りますので、栄へお越しの折にはどうぞ足をお運び下さい。
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Chi trunk show 「invitation」
会期:5/1(土)→5/30(日)
場所:Fuligo店頭
5月店休:7.13.14.19.20.21.27.28
作家在店予定:5/29(土)
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[2021年 イベント予定]
・5/1~5/30 :chi trunk show(店頭)
・6/5~6/20:ETSUSHI exhibition(分室)
・6/19~7/4:sussus. pop up(店頭)
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窪田
アクセス:
矢場町駅1番出口から徒歩5分
栄12番出口から徒歩10分
毎週金曜日定休・不定休