「田中友紀」として過去2度個展を開催して来た彼女。
活動名を「suzuki yuki」に改め、今回3度目の個展を迎えます。
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suzuki yuki 個展「foundation × conditioner」
会期:4/16(土)~5/8(日)
会場:Fuligo分室
期中店休日:4/20, 4/21, 4/22, 4/26, 4/27, 5/2, 5/6
作家在廊予定日:4/16, 4/17, 5/8
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シルバーやアルミ、ステンレスや真鍮。
槌を振るい、火にくぐらせ、一見未完にも映る形状で完結させる。
アナログで不安定な即興的製法や、終始着地するその曖昧な造形にこだわり続けるのは、産物の個性やそこに不随する余白を重んじているからだと僕は想っています。
ドローイングも又然り。
ある物はなぐり書きの様な、ある物は一筆書きの様な、ある物は塗り重ねた彩りの様であり、ある物は無彩色の様な。
ただ其処に存在している景色に近しい制作物は、名前や意図が伏せられた一種のオブジェに見えます。
それをどう捉えるのかを手放しで、手に取る他者へ委ねる事で、彼女の制作物は輪郭をかろうじて保ち、各々によってのみ具体化されるのです。
ここでいう個性とは長短ひっくるめた総称を意味します。
「100人中99人が良いと言う」「100人中1人しか良いと言わない」等といった多数決の議論ではなく、各々の感性でのみそれを見定めパーソナルなものとして自身の内側で定義していく事。
作品自体の個性を種・植物・土に喩えるなら、水に喩えられるのはそこに関わる他者の個性。
作品自体の個性を表面とするのなら、裏面の絵柄を選択するのはそこに関わる他者の個性。
ある人には木々に見え、ある人には建造物に見え、ある人には見えない。
根っこを辿れば森羅万象に適応される一種の基本原則なんじゃないかな、と。
「何であるか」より「何とするか」っていう。
あくまで各自の主観で。
これは完全なる一致・互換なんて決して他者との間に成立しないものな筈です。
ただ、情報が溢れる現代において、自身という単一なものにのみ焦点を当てるのって実はすごく難しいです。
聞こえなくても画面越しに見えてしまう声がありますから。
「個性」といった具合に個の部分は薄れ、諦めに似た性(さが)ばかりが色濃くなりがちだったり。
だからこそこういった委ねられたものって僕個人には光って見えます。
座禅を組むための仏閣・境内の様な、ちゃんと自身と向き合う場所を提供して貰えてる心地になるから。
卵が先か鶏が先か、みたいな話で、きっと彼女も同じなのだと想います。
他者との関わりが内なる自身との集合場所になっているんじゃないかな、と。
定期的に発動するまとまりなく、だらだらとりとめのない前置きになりましたが、以下の通り要訳します。
いいと想えるものを各個人で選んで欲しい会期です。
膨大ないいね!よりそれを選んで持って帰ろうとする一人一人の個性が尊いので。
悟りに来てね。
てな感じで一つ。
どうぞよろしくお願いいたします。
過去2回の個展では、タイトルに「paradigm」という言葉を用い現代らしさが伝わりやすいよう明記していましたが、3回目を迎えた今回はFuligoさんの顧客様にも少しは浸透していただけているのではないかと思いタイトルを一新いたしました。
以前にも増して人々の日頃の暮らし、背景、また深層的な部分へより着眼点が変移して行っている事がタイトルの由来に繋がっています。
本展ではジュエリー、トレイなどの他、平面作品も15点前後展示販売を予定しております。
木製パネルを使い、大きさはP0〜A4サイズ程度です。
これは、自身のアート活動を更に加速させたいという想いを行動・作品で表したものとなります。
いつからか、自身のジュエリーを制作しているとき、
完成品を眺め、展示会などの場へ立っているとき、
着用してくださる方の姿、表情を想像するとともにそうでない時の作品は、どんな様子なのだろうと興味深くなっていました。
例えば、私の場合仕事やお出かけ以外はほとんどジュエリーを着けません。
玄関先の棚へ自作トレー、磁器の作家さんのトレーにガサガサッとやや雑に置いています。
並べるというより、ピアスも指輪も、バングルも混ざった状態です。
よく、トレーを手にするお客様からジュエリーを置いてみたいというお声を耳にします。
「置くところ=住所」を探している。
そんなシーンに出くわす度、とても胸があたたまっています。
ジュエリーは、人それぞれ、好みやライフスタイル、ご職業などで数、種類、素材、着用頻度は異なり、恐らく、身に着けない時間が多いのではと考えます。
(もちろん、肌身離さない方もいらっしゃいますよね)
外向きを意識しがちですが、本当の日常の姿って、ジュエリーが部屋へ佇んでいることも含んでいると思います。
自分の身体から離れたその時間に思いを込めて、大切に特別な住みかをつくってあげられたら、と。
絵画制作の頻度が上がるに連れ、それへ、直に載せて遊んでもらえたら面白いだろうなと考えました。
アート、絵画を日常に取り入れることは、とてもハードル高く感じられますが
ディスプレイ用に、土台・什器としてもお使いいただけますし、ジュエリーの他、眼鏡や時計、人形、お気に入りの何かを置いても楽しそうですよね。
自由に想像を膨らませて、私のそれなら、きっと少しは解放的にお手伝いできるんじゃないかと。
箱庭、小さな基地を作るような感覚もいいですよね。
壁へかけて空間を演出してもいいですし。
ただ、これがなかなか腰重い行為かもですが。。。
そんなことをこの数ヶ月思い貯めておりました。
Fuligoさんでは突っ込んだ実験をしてみたくて、反応はドキドキ、賭けのようにハラハラしますが自分だからできることを可能性な限り模索して今展に臨みます。
今なりの最大限はこういった具合になりました。
鈴木 友紀
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[2022年 イベント予定]
・4/16〜5/8:suzuki yuki個展「 foundation × conditioner 」(分室)
・4/29〜5/22:revie objects(店頭)
・5/14~5/29:nejicommu個展「on time」(分室)
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窪田
アクセス:
矢場町駅1番出口から徒歩5分
栄12番出口から徒歩10分
毎週金曜日定休・不定休