ひっそりと佇む一件の本屋、私は何気なく一冊の本を手に取った。
「circus」という名のその本は、幼い頃の色褪せた記憶を蘇らせた。
洋風の大掛かりなテント、異国の音楽、奇怪な姿の人々、
見たことのない技の数々、そして動物達の愛らしい姿。
その場にいる全てのものを包み込み、全てが一つになるあたたかくて不思議な空間。
サーカスは何の前触れもなく、ちょっとした気紛れで町の小さな広場にやってくる。
短い間だけど小さな幸せの花を運びにやってきて、
誰にも気付かれる事もなくこっそりとまた次の町へ幸せを運びに行ってしまう。
その後に残された物は、寂しさや、侘しさ、儚さ、そして楽しかった日々の記憶。
小さかったその広場は、いつしか多くの感情が交差するぼんやりと光を放つ場所となる。
サーカスは、今やとても大きな存在となってしまった。
誰もが気軽に観る事が出来ない遠い存在となってしまった。
誰もが身近に感じられ、そこにいる全ての人の心に光が差し込む、
そんなちょっとした幸せな一時を感じとることの出来るモノを、私達の手で作り出したい。
jouer avec moa? – あたいと一緒に遊ばない? –
デザイナー自身が師と仰ぐ人がいました。
『自分のブランドが10年続いたら、一緒に物作りがしたい』
約束をポケットにしまって歩みを進めた3650日間。
デザイナーは固く結んだ約束をポケットから取り出し紐解きます。
そうして作られたのがアトリエ染花とのコラボレーション作品を含む今期のコレクション『美しい庭園』です。
師はもういません。
『一際思い入れが強い』とデザイナーが話す今コレクションからは、全てを優しく包み込む陽だまりの様な温かみが感じ取れます。
とても穏やかに見る者の心を照らす、翠を帯びた約束の灯り。
私見ですが、ひっそりと佇む本屋、そこで彼女が手に取った本こそその師の事を示しているのでは、と想います。
思い出は日々膨れ上がり、良くも悪くも密度を変えて行きます。
そんな一期一会の中に宿るささやかだけど確かな温度の“根っこ”を忘れない為に、これからもサーカスは続きます。
jouer avec moa? 鈴の音ピアス / jouer avec moa? 鈴の音イヤリング
jouer avec moa? 小鳥のお世話ネックレス(&アトリエ染花)
jouer avec moa? 花の首飾り(&アトリエ染花)
jouer avec moa? 秘密の庭ネックレス(&アトリエ染花)
窪田
アクセス:
矢場町駅1番出口から徒歩5分
栄12番出口から徒歩10分