『追複』
ぼくのからだには穴が空いている
それは誰にも見えない穴
見えないからだに空いた見えない穴
いつどこでなんで空いたかは分からない
生まれた時から空いていたような気もする
気づいたのは10代も終わりの頃
いろいろあって気がついた
あれ、空いているな?って
気づいたら何だか気になってしまう
出来たてのニキビみたいに気になって気になって
毎日毎日見えない手で見えない穴をふにふに触る
何なんだろう、これは?って
毎日毎日穴のことを考えていたら、色んなものが穴に似て見える
夜の駐車場
山間に突然現れる遺跡みたいに巨大な高速道路
コピペみたいにデジャビュな国道沿いの風景
田舎町に不似合いな綺麗なビル
廃れた場所
人のいない都市
壁、壁、壁、壁…
ぼくはそれらが好きになる
だってそれはぼくのからだに空いた穴にとってもよく似ているのだから
ぼくは、ぼくなりのやり方でそれらの風景を再現しようとする
した
し続けた
10年。うそ。もっと長い。
手で風景を反復する
反復反復反復
続ける続ける続ける
壁壁壁
いつの間にかそれがぼくの日常になる
日常は強い
日常は怖い
日常は反復でつくられる
反復は反復を反復する
ぼくは毎朝わくわくしながら目を覚ます
今日は何をつくろう
今日も何かをつくれる
どんな服を着てつくろう
どんな気分でつくろうって
ぼくはずっとつくり続ける
それというのも、ぜんぶ穴のせいなんです
それが特に珍しいことじゃないのは分かっているけどさ
カバン作家KAGARI YUSUKE(カガリユウスケ)2年ぶりの個展を当月末よりおおよそ2週間の会期にて執り行います。
『持ち歩く壁』を主題に掲げ、10年以上作品と向き合い続けて来た孤高の作風。
今回は今まで少しづつストックしていたアイディアを一斉放出した、意欲的かつ野心的なプロダクトが数多く並びます。
レザーの表面から剝離するパテと共に経年変化する面、そこを入り口にクローズアップしていく点の変容。
可変的なものだからでこそ魅せる日々の堆積。
是非会場で、見て、触り、感じて下さい。
総計100点を超える作品群とご来場をお待ちしております。
多くの御縁があります様に。
KAGARI YUSUKE 個展 『追複』
会期:5/27(土)→6/11(日)
場所:Fuligo ギャラリースペース
定休日:毎週金曜日
※会期初日である5/27(土)は作家である明松 氏も在廊致します。
※KAGARI YUSUKE作品は姉妹店であるFuligoshedでの常設でしたが、今会期よりFuligoでの常設へと今後シフト致しますのでその点もご承知おきください。
窪田
アクセス:
矢場町駅1番出口から徒歩5分
栄12番出口から徒歩10分
毎週金曜定休