千葉を拠点に活動するジュエリー作家 kuraishi takamichi の展示販売会を店頭にて開催致します。
多くの一点物作品を一堂に集めた一年ぶりの会期。
素朴な瑪瑙(メノウ)を用いた覆輪のネックレスをはじめ、ポストパーツからこだわって制作されたイヤリングコレクションも初お披露目させて頂きます。
2015年5月の初個展から4年。
当たり前ですが僕も彼も4つ歳をとりました。
流れてきた歳月の中で『変わったもの』と『変わらないもの』
そういった事をなんとなく、箇条書きで並べたような展示を今展はイメージしています。
日々取ってきた走り書きのメモを数十・数百並べたような。
『どれも核心ではないけど、どれも核心にほど近い。』
日々の小さな気付きや閃きって大体そんな距離感にあって、通り過ぎた企みの背後で大きく育ちます。
いつかの走り書きは今どれくらい成長したのか。
一緒に感じて頂ければ嬉しく想います。
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[Kuraishi Takamichi 展示販売会]
会場:Fuligo店頭
会期:6/1(sat)~6/30(sun)
定休:毎週金曜日
作家在廊日:6/1、6/2、6/29、6/30
※作家在廊日は数十点以上に及ぶ天然石ルースを見ながらのセミオーダーなども承ります。ご予約などは不要です。どなたでも気軽にお声掛け下さい。
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倉石さんってデザインする上で何を考えてます?重きを置いてることとかありますか?
考えないようにしています。
というのも、デザインって再構築と編集の作業だと思うんです。
まるで誰も見たことのない未知のものってなかなかデザインできるものではなくて。
いつか見たもの、感じたものを自分の中でごちゃまぜミックスジュースにして、ポンっと出てきたものが作品になっていく。
そのときに、これを何パーセント足して、引いて…とやっていると、やはり物が固くなって鮮度が落ちるような気がするんですね。
自分の感覚でインプットしてきたものを、感覚のみにしたがってアウトプットする。
そういう意味で、感覚を思考が妨げることないように、何も考えない、ということに重きを置いています。
強いて挙げるならひたすらに自分にとって格好よろしい形を、オーダー品であれば依頼主に寄り添うよう、その方のありたい姿との橋渡しになるような形を、といった点は思考の台座になっているかもしれません。
様々なジュエリーブランドが近年大変増えたと想うんですけど、これに対してどう思ってます?また、そういった他デザインとの差別化などはどの様に考えていますか?
んー、そう言われてみると確かに増えているかもしれませんね。
このところのその流れって、物の作り込みよりも、背景や見せ方や世界観など、全体こみこみでのパッケージの巧さ、というものが求められているのかなと感じていて。
それは売り方が多様化してきたり、見せ方が多様化(SNSなど)してきたおかげで、雰囲気の出し方が物の評価を左右する傾向というか。
良くも悪くも、物はこれくらいでよくて、というような印象も増してきているように感じます。
これくらいで良い(マイナスな意味合いではなく)という物を積み重ねていって、一歩ひいてみたときの全体像を組み上げるのが、お店、作り手、着け手といった多くの人が上手くなってきてますよね。
足し算の見方・見せ方、のような。
自分のシンプルな物に対するイメージは、奥行きや深さが果てしなく無限であるものを、抽象化し続けていって、どんどん削ぎ落としていったときに残る、「核」や「根っこ」の造形だと思っていて。
シンプルになればなるほど、濃くなって。
熱量や密度感が増していく。
そういう感覚で作っています。
足し算云々というか『一を出し切る』みたいな。
この感覚や造形自体が、そのまま差別化になって…いるといいですね(笑)
中でも『コンテンポラリージュエリー』といった言葉で一括りに結ばれたシンプルなデザインがかなり増えたように感じています。真に前衛的かどうかは別にして、チャンネル表記としては検索もしやすくニーズを掬い取りやすいものかと思いますが、こういった流れが漠然と大きなトレンドのようになっている点はいかがでしょう?
そういう好みの人が増えたんでしょうか。
差別化、というか、そもそものスタートがひょっとするとまるで違うかもしれませんね。
自分は、モノとして云々、ファッションとして云々というよりも、あくまでも「その人のありたいように」あるために、宇宙と人とをつなぐものを制作しています。
もちろん、着けてみて美しい存在であること、ファッションとして成立することが大前提ですが。
前述は控えめでしたね。
確実に違うものとして成立しているはずです。
そういった何というか一思想の『芯』みたいなものがKuraishi takamichiの強みなんですかね?
次の項目と関係してきますが。
2016年に今の価格帯での作品作りがはじまりました。
そのときにすごい言葉を人からもらって。
「魂の欠片」という言葉です。
これは、僕が自分自身の魂の欠片となる物を集める、という一面と。
それが、まだ見ぬ未来の着け手の魂の欠片となる、という一面があって。
僕は、ひたすらに自分の欠片になるようなものを、好きなものや好きなこと、なんだかわかんないけどたまんないんだよなーというものを集めに集めて。
いらないものはどんどん捨てていって。
そうすると、純度は高まるじゃないですか。
もう熱々のぷるんぷるん。
そういう作品が出来ると、それに惹かれる方にとっても、やはりそれはその人にとっての魂の欠片であって、響きあう。
「着け手に寄り添い、その人の核や根っこの部分に届く物」
これが新しい屋号、Kuraishi Takamichiの強みだと信じています。
出会った頃と今とでは全く価格帯が変わりましたよね。価格を上げた当時、一種の気概や覚悟みたいなものを僕は感じましたが、それから歳月がたった今、この変化は現在地へどのように影響してますか?
当時価格帯を上げるとき、それはもうとんでもない葛藤というか、恐れや不安がありました。
こんな値段で売れるのか、今までのお客さんはどうなっていくんだろうか、などなど。
2016年春の展示会がはじまって、その気持ちはまるで消え去って。
あ、これで大丈夫なんだ。
これをやってもいいんだ、と。
それまでは、一度買って頂いた方には、ずーっとリピートしてもらいたいなぁと思っていたんです。
でも、これってとんでもないエゴの塊というか。
僕もあなたも変わらない、もしくは同じペースで変わっていく、ということを前提にしていますよね。
もうなんか穴掘って誰かに土をかけてもらいたいくらい恥ずかしかったですね(笑)
一生に一度でもいいから。
僕の線と、誰かの線が一瞬交わったり。
近づいて、接したりして。
そして、作品を着けてもらえる。
と、同時に作品を買って頂くという行為は。
これまでの積み重ねに対するご褒美ではなくて。
積み重ねに対するご褒美って、今その目の前に出来上がった作品を作れた、というもので。
じゃあ何を買って頂いたのか。
「今日のこれ最高です!欲しいです。ください。次も面白いものを作ってください!見せてください」
という、未来への投資をして頂けたんじゃないかなと思うんです。
となると、もうますます自分の好きなもの、魂の欠片を集めるしかない、と。
今はそのジュエリーが売れたときに、頂いて嬉しい額、というのが値付けの基準になっています。
印象としては、より深いお客様が増えたと感じています。
今展示に向けて制作されたもの、アイディアのルーツみたいなものはあるんですか?冒頭でも触れましたが、出来上がったものを改めて見た時に感じるものは何となくあるのかなとか思うんですけど。
宇宙、文化、文明、人類。
そんなキーワードは常に自分の中にあって。
今回の新作はそんな面からエレメンツ、ユニバース、根っこ、核、光、寄り添う、そんな言葉(点)が浮かんできます。
出来上がった作品はどういった方々に届けたいです?
例えば地球の反対側で今日生まれた女の子がいつか買いに来てくれる。
そんな日が来たら…めちゃくちゃ嬉しいですね。
自分のありたい姿を見たい方。
その一種の投影機としてkuraishi takamichiの作品を選んでくれる方と巡り会えればと。
そういった人々に出会っていく道程として、目下のところの展望とか今ありますか?
具体的な制作の中からですと、原石からの研磨は始まりました。もう原石掘りたいですね。
あとは石の彫刻、なんてのもやってみたい。
まだ扱っていない素材も気になるものがたくさんありますし。
とにかく熱量と純度。
もっとダイレクトに、人の核に触れるものを作りたいですね。
強く、優しく寄り添うもの。
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[2019年 イベントスケジュール]
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・6/1~6/30 :kuraishi takamichi 展示販売会(店頭)
・6/8~6/16 :GARA 展示受注会(ギャラリー)
・6/22~7/7 :yohei noguchi 個展(ギャラリー)
・7/6~7/28 :uM トランクショー(店頭)
・7/13~7/28 :田中友紀 個展(ギャラリー)
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窪田