2018年へと年が変わり早1週間。
年末年始特有の賑わいも段々と色を薄めて参りました。
ゆったりとした流れの中に、一滴でも来る方々の琴線に触れるものを浮かべれる様、本年もこつこつ進めて参ります。
何卒宜しくお願い致します。
今回は店頭での催しのご案内。
関東を拠点に活動するYOHEI NOGUCHIのトランクショーを1/13~2/4の会期にて開催致します。
予てより腕周りの装飾を探していました。
一本では無く複数本着用しても美しいもの。
手仕事が感じとれ、素材の味わいが使い込む程に増してゆくもの。
時代や流行りに囚われないもの。
全ての人々が、自身に合った量感・厚みを選べるもの。
背景があるもの。
そんな腕周り。
数あるアクセサリーの中でも、絶対数が他のデザインに比べて圧倒的に少ないのがブレスレットです。
袖の短い装いが主となる季節にしか明確に視認出来ない事も数が増えない理由でしょう。
実際店頭でブレスレットを気にする方は少なくありませんが、その中の半数以上はブレスレット以外のものをお求めになって行きます。
理由は上記でも触れた通り「通年で使えるかどうかが決め手」といったものです。
「有ったらと思ったけど通年で使えないなら無くてもいい」
そういう風な所に落ち着きがちな風潮の様なものを少しだけ変えたいな、と思いました。
「必要では無いけれど有った方がいい」
そんな少しのニュアンスの変化でいいから。
長い袖に腕を通す季節、表立って見えていなくても手を伸ばした際に覗く腕周り。
例えば、机に肘をついて珈琲を啜る時。
例えば、電車のつり革を握る時。
例えば、車のハンドルを握る時。
例えば、室内で上着を脱いで過ごす時。
例えば、袖をまくって腕時計を覗き込む時。
例えば、小さな子どもを抱きかかえる時。
例えば、誰かと手を繋ぐ時。
見え続けている事を前提としない装飾、「必要では無いけれど有った方がいいなぁ」と僕は想います。
ひと夏だけ表に出て、また裏へ帰って行く。
そんな所も何だか風情が有っていいなぁ、と。
ただ、見える見えないに関わらずブレスレットを着用しようと思うと凹凸は極力無い方がいいですよね。
今の様な寒い季節にはニットなども着ますし、あまりに隆起しているもの等は引っかかってしまいます。
袖口のシルエットを壊してしまったりするのも避けたいところ。
長々と記して来ましたが、上記をまるっと網羅しているのが今回展示を開催するYOHEI NOGUCHIの作品達となります。
YOHEI NOGUCHIが作るのはDuodje(ドゥオッチ)と呼ばれる装飾。
Duodjeとは、スウェーデン、フィンランド、ノルウェー、ロシアの4カ国にまたがるラップランドの先住民族”サーミ族”達から 何百年もの間語り継がれて来た伝統的な刺繍技法で作られる装飾品。
サーミ族はトナカイを遊牧し生計を立てており、そのトナカイに敬意を表し、トナカイの革、角、現地の装飾で使用される錫糸(ピューターワイヤー)を使用しブレスレット等のアクセサリーを作っています。
言うなれば、感謝と祈りの断片とその堆積から作られるのがこのDuodjeです。
そういった生と向き合う事から紡がれて来た装飾を独学で、ここ日本で制作しているのがYOHEI NOGUCHIとなります。
トナカイの革、角、ワイヤーは北欧サーミ族が装飾で使用するピューターワイヤー (錫糸)を使用しており、その材料は全てスウェーデンから輸入しています。
現地の伝統的な制作方法やデザインをベースに、日本の伝統技術である水引や組紐を取り入れ、パールやクリスタルなどの新たな素材をあわせることで生まれる独自のDuodje。
経年変化によりピューターワイヤー(錫糸)は酸化し少しくすんだ色味になっていきますが、柔らかいワイヤーの表面が潰れてくることで、その部分に輝きが生まれます。
また、トナカイのレザーはキメが細かくしっとりとした手触りで非常に柔らかいため、長年着用していると手の油分で色が濃くなっていき、腕に馴染み自分だけの形になっていきます。
使う人の生活に合わせて、アクセサリーがその人特有の味を生み出し、その人だけの価値あるものに変化していく。
その美しさを手に取って頂いた皆様に味わって頂ければ幸いです。
会期はおおよそ3週間。
有って良かったと言って貰える、多くのご縁があります様に。
[YOHEI NOGUCHI trunk show]
会場: Fuligo 店頭
会期: 1/13(土)~2/4(日)
作家在店: 1/27(土)- 1/28(日)
定休: 毎週金曜日
窪田